日本国の債務状況と資産の内訳:CFD取引でインフレ対策!株と外貨で個人資産を守る

日本国の債務状況と資産の内訳

   

今回からは、「ハイパーインフレは日本で起こるのか?」という事を本格的に考えてみたいと思います。

ただ、最初に言っておきますと、管理人自身は、2011.1時点において、現在の日本の状態のままならば、少なくとも2011年中はハイパーインフレはまず起きないと考えています。ハイパーインフレの可能性が出てくるのは3~5年先ではないかと考えています。


それには、幾つか理由があるのですが、、、それを説明するためには、まずはあなたに日本の現在の姿を知って頂く事が必要になります!

実は、現在の日本の債務状況と保有資産の状況をしっかり把握して整理すれば、「何処の"タガ"が外れた時に、ハイパーインフレにつながるのか?」が見えてくるようになります。また、「おおよそのハイパーインフレが始まるタイミングを知る糸口」も見えてくるはずです。


なので、まずは日本の債務状況と資産保有状況を整理することから始めましょう^^


真の日本の債務状況とは?

まずは、日本の債務状況(バランスシートでいう負債の部)を調べてみましょう。
日本の債務と言えば、日本国債や政府短期証券や借入金など色々ありますが、まずは最も金額的にも多い日本国債(普通国債)の残高推移を見てみましょう。


下グラフは、日本の普通国債の残高推移(財務省のデータより)です。推移のグラフは平成20年の553兆円のデータまでしかありませんが、2008年はリーマンショックの影響などで、さらに国債発行額は一段増えて、2010年3月時点で、普通国債残高は約594兆円となっているのが分かっています。

これだけでも、かなりの金額と言うのが分かりますよね。しかし、残念ながら、上記は普通国債だけのデータです。

国債には他にも「財政投融資特別会計国債,交付国債,出資 ・ 拠出国債」などがあります。さらに、国債とは別に、「政府短期証券」、「借入金」などの負債もあります。


それら全てをを累計した負債額が真の国の借金となりますが、平成22年3月末の財務省報道によると、国の借金は合計で約883兆円ある事が分かっています。



ただし、上記は国の借金だけですので、地方自治体の借金(地方債)はまた別にあります。


地方債の残高は平成20年時点で197兆円となっています。最新のデータを確認すると、総務省・地方財政制度のホームページでは、2010年度末での普通国債残高は約200兆円となっています。

つまり、2010年度3月時点での国と地方を合わせた負債合計は、下記の通りです。


国と地方自治体の負債の合計 = 約883兆円 + 約200兆円 = 約1083兆円

むむむ、地方入れると、既に1000兆円の大台を超えてしまっています。。。
ここまで来ると、もう途方もない額です。


しかし、上記はバランスシートで言うところの「負債の部」だけに着目したものであり、「資産の部」も一緒に見なければ、現在の状況は正確には掴めません。


会社でも個人資産でもなんでもそうですが、負債ばかりに着目しても意味がありません。現在持っている資産があれば、負債の部分をカバーできるからです。

そこで、次に「資産の部」を確認してみましょう。


日本政府が持っている資産は?

資産の部については、財務省のホームページのうち、「国の財務書類・省庁別財務書類・特別会計財務書類」のページに各年度ごとのバランスシート(賃借対照表)が掲載されていて、それを見れば分かります。

ただし、この記事を書いている2011年1月時点での最新データは、「平成20年度」のデータとなっています。データ古いのはこれは、毎年6月下旬~9月頃に2年半前のバランスシートが発表される仕組みになっているからです。

もっと早く発表すべきだとは思いますが、現時点ではこのデータを参照する以外にありませんので、そこから現在の政府の資産を紐解いてみる事にします。


下記は「平成20年度 国の財務書類の概要」にある、賃借対照表のデータです。ここでは、資産の部(赤枠)の部分に注目して下さい。




上記の資産の部の合計を見ますと、平成20年度末における国の資産合計は664.8兆円であることが分かります。額面通り捉えると、案外、国は資産を持っているんです。

そして、単純に先ほどの負債額約1083兆円から、この664.8兆円を差し引けば、負債は400兆円弱まで圧縮できてしまうのです。


こう言うと、「じゃあ、まだ、日本は安全なんだね!」と思われる方もいる方がいるかもしれませんが・・・ところが、この「資産の部」の数字にはちょっとしたカラクリがあります。


どういう事かと言うと、いくら資産があるとはいえ、資産には流動性を考えなければなりません。つまり、この資産の中には、すぐに現金資産に替えられるものとそうでないものがあるのです。

そして、日本国の資産の部は、流動性の無い物、つまり、道路や河川といった公共用財産が相当程度含まれていたり、アメリカ国債のようにアメリカの承諾無しには実質売れないものも多く含まれています。

したがって、資産の全てを額面通り捉えることはできないのです。


したがって、資産の部においては、資産とみなせるものとそうでないものを見極めるとともに、資産と見なせる場合は、それが流動性のあるものかどうかを見極めていく必要があります。

そこで、資産の内訳について、下記に整理していく事にしましょう。
(幾らか管理人の主観が含まれてますがご容赦ください)


<国の資産664.8兆円の主な内訳>


現金・預金 約23.7兆円
資産と見なして問題なく、流動性も確保されている
有価証券 約99.3兆円
為替介入に伴い取得した外貨証券など。
9割がドル建て資産と言われており、米国債もここに含まれています。
有価証券の内訳は、財務省から発表されておらず、詳細不明です。
しかし、財務省が別に発表している「外貨準備高の状況」の「外貨証券」の数値や
米国財務省が発表している「財務省証券の主要海外保有国データ」から、
有価証券のうち60~70%は米国の財務省証券であると推察でき、これらは残念ながら、米国の承諾無しに売却できないでしょう
資産と見なせるが、60~70%は売却できず流動性のある資産とは言えない
貸付金 約163.0兆円
地方公共団体や政策金融機関などへの長期・低利での貸付(財政投融資)など。
資産ではあるが、幾らかは不良債権化してしまっている可能性は否めない
運用寄託金 約125.0兆円
将来の年金給付のための積立金を運用寄託したもの。厚生年金が約9割。
これらの資金は将来の年金の原資になるのもです。
資産と見なせるが、年金原資なので国の借金返済に使用することはできない
(言わば、この運用寄託金は国民から預かっているお金である)
有形固定資産 約182.7兆円
道路や橋など公共用財産と、皇居、自衛隊基地、国庁舎、国有林などの国有財産。
官庁舎や国有林などはまだしも、道路や橋は買い手のつかない資産であり、
皇居、基地など売れる性質のものではない。
一部は資産と見なせるが、残りの殆どの資産は売却できない資産である
(施設や物品資産には、減価償却が十分に考慮されていない可能性も・・・)
出資金 約54.5兆円
独立行政法人への出資が約5割。残りは日本郵政株式や国際機関や国立大学法人などへの出資金。
資産ではあるが、幾らかは不良債権化してしまっている可能性は否めない

全ての内訳が公表されている訳ではないので、詳細まで分かり難い部分もありますが、
資産と呼べるものは資産全体の額面の30~50%程度で、流動性のある資産は、さらに、それよりも少ないというのが、管理人の感想です。

仮に、資産のうち50%が圧縮(負債と相殺)できたとしても、下記の通り、既に750兆円もの負債が積みあがってしまっているのが現状なのです。

国と地方の負債の合計(約1083兆円)-国の資産(664.8兆円)×50%
= 750.6 兆円

管理人は、あくまで公平に国の現状を見極めたいと思って調査していますが、 こうして見て行くと、国の保有資産にも、それほど過度な期待は出来ないことが分かります。


なお、民主党には、国の有形固定資産や貸付金、出資金の一部を証券化して、それを国債の返済に回そうという動きもありますが、これは現実的な政策ではないと管理人は思っています。

なぜなら、それら有形固定資産や貸付金、出資金などの国の資産は、既に国債という証券の担保のようなものだからです。

既に担保にされてしまっている資産を二重に担保にするのは、現実的にはおかしいことだと思いませんか?

でなければ、国債の担保というのは、いったい何で担保されているのだという話になってしまいます。「将来の国の税収が国債の担保だ」と考える方も居ますが、それは若い世代の国民だけに借金を押しつけるに等しいものです。


なぜ潰れない?ココが変だよ日本国!

さて、ここまで見ていると、負債が資産に対して圧倒的に超過していますが、「なぜ、日本は潰れないんだ?」と思われる方も居ると思います。

それは、日本の国民の個人金融資産が圧倒的に多いからでもあります。

その額は、一説によると、総額1400兆円と言われるほど、世界でも群を抜いて多いものです。 この個人金融資産があるからこそ、日本はまだ潰れないで持っている訳ですね^^;


しかし、国民が個人向け国債を大量に買っている訳でもありません。
いったい、どういう仕組みで、個人金融資産が国債発行に充てられているのでしょうか?

この国債発行の仕組みをきちんと理解すると、、、
政府が今度は、次にどのような手段で国債を新規発行し、そして、日本がいよいよ危なくなるタイミングはどの時点なのかが、何となく分かってくるはずですd(^^)


ちなみに、管理人は、この国債発行の仕組みや負担割合などから検証して、2011年段階では、まだ国債の発行の余裕額があるので、少なくとも2011年中はハイパーインフレにはならないと思っています。

そうした管理人の判断根拠なども含めて、次回は、「国民の保有資産と国債の保有割合について」について、詳しく解説したいと思います。

 ● 国債の仕組みがわかる参考書籍


筆者の久保田博幸氏は、1985年に長期国債先物が東京証券取引所に上場されて以来、14年間以上にわたって、債券現物・先物をディーリングを担当した、いわば国債のスペシャリストです。

この本を読めば、日本国債の発行から償還までの仕組みや国債価格の変動要因などが全て分かります。

また、日本国債だけでなく海外債券の動向までも網羅されており、個人資産の逃避先の選定やアセットアロケーションの国債に関わる部分の最適化を考慮するうえでも参考になるでしょう。

個人資産のインフレ対策



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